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活動内容


先日行いました「染の小道をめぐって知る着物染色ツアー」について、東京執行部会、フジタケイコが報告します。

「染の小道をめぐって知る着物染色ツアー」ご報告
前日の冷たい雨、風。お天気がとっても心配でしたが、何とか雨は免れました。しかし風がキーンと肌に冷たい朝でした。時間になると中井駅に参加者の皆さんが続々とお見えになり、「はじめましてー」「よろしくお願いしまーす」と早くも和気あいあい、これから始まる一日がとっても楽しみになりました。

<<概要>>
日時:2011年2月19日(土) 9:00~14:30 (雨天決行)
場所:東京都新宿区落合・中井界隈

有限会社廣瀬染工場

てくてく歩くこと15分、まず最初の訪問先である「廣瀬染工場」さんに到着。風にゆらめく素敵な暖簾の歓迎を受け、わくわくしながら中へ入るとそこは趣きのある和風建築の工場、昭和6年築だそうです。
作業場に入らせていただくと、まず目に飛び込むのはどーんと長い一枚板の作業台。贅沢なモミの木の無垢材で、ちょうど反物半分の寸法に合わせ7Mの長さになっているそうです。どれも昔からずっと使い続けてこられていて、これまで刻まれてきた長い歴史を感じます。

さて職人さんより早速江戸小紋についてのご説明を受けました。なんといっても一番の特徴はその「控えめさ」にあるという江戸小紋。遠目にはまるで無地のようにも見えますが、近づいてみるとそこには気が遠くなるほど繊細な柄が施されています。その繊細な柄は伊勢の和紙を数枚重ねたものに小さな彫刻刀で一つ一つ彫って出来上がるそうです。熟練の職人さんでもその制作には約1ヶ月かかるということ。ただただため息がでて、気が遠くなりそうでした。

さて江戸小紋の工程は、①型つけ→②色合わせ→③地色染め(糊置き)→④蒸し→⑤水洗→⑥乾燥→⑦仕上げ、となるのですが今回は③を体験させていただくことができました。たっぷりの糊をヘラにとって反物に塗っていくという工程で、職人さんが作業しているのを見ていると、なんとなく「私にもできそう?」な気になりますが、実際やってみると・・・。糊が大量に固まった部分とはげている部分ができたり、もうたったのひと塗りだけでその作業の大変さがわかります。今回の体験は反物ではなく、和紙に自分の気に入った柄を好きな色で染め付けるというものですが、直接職人さんに教えていただきながらの体験は本当に貴重でした。(袱紗に挑戦された方もいらっしゃり、こちらは後日の出来上がりがとっても楽しみですね!)

工場内の見学では昔ながらのお道具や材料、工程を見せていただくことができました。以前は川の水を使って水洗いをし、外で乾燥させていたということですが、晴れた日に、風にはためく色とりどりの反物はさぞかし美しかったことでしょう。
「着物は水の芸術」というお話しを伺いました。染の工程で「水」というのが欠かせない存在であるだけでなく、着物は先祖代々受け継がれていく(循環=水)という意味からも、「水の芸術」という言葉はまさにふさわしいと思いました。

最後にいろいろな着物や小物などを見せていただき、「これすてきー」「きゃー、こっちもー」とみなさん大盛り上がりでしたが、時間の関係で後ろ髪をひかれつつも次の目的地へ・・。

当日の模様  (ブラウザの文字サイズは「中」以上を推奨)
     
小紋の説明を受けています。 型紙についての説明を受けているところです 型紙を彫る道具です。
     
糊置き体験をしました。 自分で選んだ型紙で色塗り体験をしました。 小紋を蒸す工程で使用する蒸し小屋。。

工房貴美

2番目の訪問先は「工房貴美」さん。友禅作家の真渕貴昭さんから、江戸友禅に関する歴史や工程などのご説明を受けました。私は「友禅」というと、京→金箔、派手のイメージが強かったのですが、今回お見せいただきました真渕さんの作品は全く違う印象で、まるで絵画を見ているような感じでした。

季節の花、雅楽器など古典的な柄の他に、生まれ故郷の信州の風景や、瓦屋根に梅の花、と控えめに春の訪れを感じさせるもの、また洋楽器などの柄もあり、私の持っていた友禅の印象を根底から覆されるとても斬新なものでした。お弟子さんがちょうど絵付けをされており、間近でその工程も見ることができ、とても感激しました。友禅は下図、墨描き、下絵付け、糊置き、水地入れ、蒸し・・・・・とやはり気の遠くなるほど長い工程を経てようやく完成されるそうですが、初めから出来上がりを想定して一つ一つの工程はきちんと計算しつくされているそうで、その「計算」は経験を積むことによってはじめて習得できることだそうです。

着物はそれだけでも芸術ですが、帯、帯揚、襦袢など他の芸術品を重ね合わせてコーディネートされます。「世界にもこれほど贅沢な文化はない」「着物は家庭の歴史・伝統」という真渕さんのお言葉が印象的でした。おばあちゃんが娘に買ってあげたものを、その娘(孫)が譲り受ける、ということも着物ならではの文化ですよね。参加者のうちお一人は試着体験もさせていただきました。みなさん、こちらでも大いに盛り上がり、名残惜しかったですが、またもや時間の都合でやむなく退散・・。

当日の模様  (ブラウザの文字サイズは「中」以上を推奨)
     
友禅作家、真渕先生の説明。 五節句をモチーフにした友禅 お弟子さんの作業風景。
   
友禅の着物の試着もできました。

盛りだくさんの午前中。お腹もペコペコでみなさんお待ちかねのランチは、長寿庵というお蕎麦屋さんでいただき、お話しも大いに盛り上がりました。

ランチ後、お天気も回復し緩やかな日差しがとても心地よい中、中井の街をゆっくり散策。開催中の「染の小道」イベントのため街中いたるところに暖簾がかけられており、とても楽しい散策となりました。みなさん、気に入った暖簾の前で写真をパチリ、パチリ。素敵な思い出となりました。

妙法寺川は、たくさんの美しい反物が飾られた「川のギャラリー」となっており、こちらはまた目を見張る芸術。昔は色をつけて蒸した後の反物の水洗いを川でしていたそうで、川の中に流れる反物のイメージを表現したとのことです。川の流れ、風、太陽など自然と調和してとっても見事でした。遠い昔の染の街、中井はこんな風景だったのかもしれないなーとノスタルジックな気分になりました。

当日の模様  (ブラウザの文字サイズは「中」以上を推奨)
     
町中にユニークなのれんがかかっています。これは銀行ののれん。 こちらは薬局 作家さんののれんも。
     
八百屋さん。 名物の妙法寺川の反物。

吉澤湯のし加工所

さて最後の目的地は「吉澤湯のし加工所」さん。
反物を作る上で欠かせない工程のひとつである「湯のし」。実際に機械を使って「湯のし」の工程を間近で見学させていただくことができました。染め上がって乾燥が済んだ反物はこちらの工場に持ち込まれ、最後の仕上げをするのです。両端をピンと貼って、蒸気をかけシワをのばし均一な幅にするという、聞くだけだと単純な作業なようではありますが、ここでもやはり熟練の業が必要とされています。それまでの工程でたくさんの職人さんたちの技、時間、思いが込められた大切な反物を最後、仕上げていくという工程は、なんだかとても感慨深いように思えて(花嫁衣裳を纏った娘に仕上げの紅をさす、といった感じでしょうか?)、私はとっても感動してしまいました。

当日の模様  (ブラウザの文字サイズは「中」以上を推奨)
     
湯のしに使う機械です。。 その機械で実際に作業している風景を観察 湯のし後の鮮やかな帯や着物を鑑賞。


最後に

今回のツアーは、普段めったに入ることのできない工場を見学させていただいたり、職人さんの作業を目の前で見ることができたり、作家さんから直接お話を伺ったりと、貴重な体験の連続でした。本当にありがとうございました。

(ツアー後のふりかえりのひとコマ)
伝統の技は日本の心。昔から受け継がれてきた日本の心を絶やさぬために自分たちができることは何だろう、と改めて思いました。参加者の皆さん、本当にお疲れ様でした。

*****************************************
ケイコさん、ツアー報告、ありがとうございます。参加されなかった方も当日の雰囲気、少しは感じ取っていただけましたでしょうか。参加された皆さんにとっては、ツアーの1日を思い出していただければ嬉しく思います。

参加者11名の方は、皆さん一同に大満足されたご様子で、

「体験できたことがとてもよかった!「簡単に見えて意外と難しい」というのは大きな発見でした。」
「職人技。美しかったです。大切に残されている資料、型紙、道具を見て感動しました。」
「江戸小紋、友禅、湯のしなど、すべてただキレイ、美しいというだけでなく、1つ1つの作業を丁寧に積み重ねて出来上がっているという事がよくわかりました。」
「この日本ならではの美しさや技術がなくならないで残って欲しい、残さなきゃと思いました。」
「染物の大変さを目にして店頭に並ぶ反物がどうしてできているのがわかったし、その苦労や手間が詰まっていると思うと見る目が変わるいい機会でした。」

などなど、数多くの感想をいただきました。私共一同、感謝の気持ちでいっぱいです。

今後も日本のものづくりをより多くの方々に知っていただくために各地でツアーや講座を開いていきたいと思います。日本のものづくり大好きな皆さんと次回モノづくりツアーでお目にかかれる事を楽しみにしております。

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